大田区西馬込の南馬込おかばやし耳鼻咽喉科 都営浅草線 馬込

南馬込おかばやし耳鼻咽喉科

かぜ外来

皆さん、季節の変わり目などに鼻かぜ・のど風邪をひくことがあると思います。

多くはウィルス感染による症状であり、数日で改善することが多いですが、4~5日程度経過しても改善しない場合もあります。

その時はどうされていますか?

長引く鼻かぜ

鼻かぜの場合、長期間に渡って症状が続くときに真っ先に疑うのは、急性副鼻腔炎です。

俗に蓄膿症ともいわれますが、鼻かぜと急性副鼻腔炎は何が違うのでしょうか?

鼻かぜと急性副鼻腔炎の違い

1つは、炎症を起こしている部位です。

「鼻かぜ」こと急性鼻炎は、固有鼻腔という鼻の息の通り道で炎症が起きております。

それに対し、急性副鼻腔炎は、名のごとく副鼻腔という空洞で炎症が起きて、膿がたまります。

これは治癒していく過程に非常に大きな影響を与えるため、きちんと区別する必要があります。

正しい治療をするためにも、しっかりと診断を受けましょう。

急性副鼻腔炎は治るまで
時間がかかります

急性副鼻腔炎の場合、副鼻腔の内側にたまった膿が「副鼻腔自然孔」といわれる孔から排膿されることで改善に向かいますが、副鼻腔の空洞の大きさに対し、自然孔の大きさが小さいため、完全に排膿されるまでかなり長い時間を要します

排膿される傍らで、炎症も持続しているため、膿もまた産生されていきます。

また、粘膜も炎症を起こし浮腫状に腫れていきます。

抗菌薬や去痰薬といった薬を使用しますが、薬は内服後、あくまで血中に乗って運ばれるだけなので、血管が走っている組織にはある程度の濃度で維持されます。

副鼻腔にも粘膜が薄く張っており、この中を血管が走っています。なので、ここには薬は届きます。

しかし膿の中には血管は走っていないので、副鼻腔の粘膜には効果があるのですが、薬を飲んでも膿がすぐになくなるわけではないのです。

膿は本来外科的処置により排膿すべきなのですが、副鼻腔は骨で囲まれているため、外科的処置が困難です(抗菌薬の発達していなかった時代には、穿刺針で骨に孔をあけ、排膿を行っていました)。

ですから、急性副鼻腔炎は、薬を飲んでも改善まで数週間の時間を要します。

放っておくと
ポリープになってしまうことも

どうせ時間がかかるなら、何もせずに様子をみてもよいのではないかと思われる方もいるかもしれませんが、副鼻腔の粘膜は炎症により浮腫(むくみ)状に腫れていきます。

これは炎症が落ち着けば次第に小さくなっていきますが、副鼻腔炎を何度も繰り返すことで、この浮腫が残ったままとなります。

この粘膜浮腫の成れの果てが鼻腔ポリープです。

こうなりますと、薬では改善することはできず、手術するしかない状態となります。

また、鼻腔ポリープは大きくなると固有鼻腔を閉塞させ、鼻閉の原因となります。

放っておいて、手術が必要になる前に、早めに受診し治療をはじめましょう。

お子さんの鼻かぜが
長引く場合

お子様が鼻かぜを長引かせている時、何が起きるでしょうか?

お子様の場合、副鼻腔はまだ未発達気味であることが多く、急性鼻炎と急性副鼻腔炎はほぼ同意義となります。

もちろん重症化する急性副鼻腔炎もありますから厳密には区別すべきですが、そのくらい大人と子供の副鼻腔の大きさには差があります。

これは大人と子供の顔貌の差にも表れています。

他の病気につながることも

子供の場合、鼻かぜを長引かせると一番困るのは慢性滲出性中耳炎につながっていくことです。

あるいは急性中耳炎の原因ともなります。

急性中耳炎は熱発と疼痛を伴い、早急に改善させる必要があります。

慢性滲出性中耳炎は、耳閉感以外の症状が起きにくく、子供は耳閉感を積極的に訴えることは少ないため、なかなか気づくことがありません。

しかし長引く慢性滲出性中耳炎は、結果的に耳閉感を長引かせます。

言葉の発達に影響

耳閉感は聞こえにくさとほぼ同意義です。幼少期に聞こえにくさが続くと、言葉の発達に影響します。

なぜならば言葉は、まず周囲のものが話している言葉を「聴いて」覚えるからです。

インプットされることなく、アウトプットされることはありません。

特に言語の臨界期といわれる3歳までは、極力聞こえは良い状態を維持したほうが良いです。

ですから、小児においても鼻かぜ、特に長引く鼻かぜは、耳の診察なしで経過を追うべきではないし、慢性滲出性中耳炎がある場合、ガイドラインに従って適切に対応すべきです。

あまりにも長期にわたる場合は、鼓膜チューブ留置術なども検討しなければいけませんが、これらを総合して介入できるのは耳鼻科のみであると考えます。

長引くのど風邪

では、視点をかえてのど風邪はどうでしょうか?

3-4日以内に落ち着くような「のど風邪」はまず心配ありませんが、それでも心配しなければいけないのど風邪もあります。

38-39度台の熱発を伴うのど風邪、また開口障害といって、口が開かなくなるような「のど風邪」です。

これらは、例え今日から症状が始まったとしても、すぐに受診してください。

理由としては、1つは急性扁桃炎・扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍という、口蓋扁桃にかかわる炎症性疾患による「のど風邪」である可能性があるからです。

これらの疾患は、場合によっては致命的となることがあります。

のど風邪で致命的なんてあるのかと思われるかもしれませんが、私は今まで何人も、これらの病気で緊急で入院、外科的処置を受けてこられた方を見てきました。

最初に診察を受けていた科が耳鼻科でなかった為かは不明ですが、他科でのど風邪と診断され薬をもらい様子をみていたが改善せず。

それから扁桃周囲膿瘍を拗らせた後、深頸部膿瘍という重篤な病態となって耳鼻科へ救急搬送され、緊急で頸部外切開、気管切開を行い、ICUで入院し治療する経過を辿られた高齢の方もいます。

これらはすべて「のど風邪」から始まっています。

のど風邪だからそのうち治るとか、心配ないと放っておくことのないようにしましょう。

のど風邪はいつ
耳鼻科に行けばいい?

では、のど風邪をひいたときに、いつ耳鼻科を受診すべきでしょうか?

受診の目安

1つは、先ほども述べたように、のどが痛くて熱が高いとき。
熱は38度程度出ているようなら熱が高いと判断してよいと考えます。

2つ目は、口が開かない、あるいは開けにくい、水を飲みこめないといった症状が随伴しているとき。

3つ目は、呼吸が苦しくてのどが詰まりそうなとき。

これらはいずれも重篤な疾患を想定しうる症状ですが、2つ目、3つ目にいくほど、より重篤な病態の可能性が高くなります。

これらの症状があるときは、
できるだけ早めに耳鼻科を受診するようにしてください。

必要に応じて、
詳しい検査も行います

もちろん長引く喉の痛みも気にすべきです。

ご飯は食べられる程度の痛みだけれど、1か月以上も続いている、もし以前から喫煙していらっしゃる患者様がこのような症状があれば、咽頭癌や喉頭癌などの可能性を懸念し、喉頭ファイバーを施行し詳細に診察します。

これはまた別の話になりますので、今回は割愛いたしますね。

そもそも風邪とは何なのか?

急性副鼻腔炎・急性咽頭喉頭炎・急性中耳炎・急性気管支炎…。

急性という頭文字のつく耳鼻咽喉科領域の炎症性疾患は数多ありますが、そもそも風邪とは何なのでしょうか。

当院では慢性上咽頭炎に対し治療を行っておりますが、この治療を通じて、風邪というものについて一層の理解が進んだように思います。

さまざまな症状のあらわれ

我々は生理的に鼻呼吸をします。鼻呼吸をすると、外気を鼻から吸い込み、喉、そして気管支・肺へと吸い込んだ空気は流れます。

最初に外敵であるウィルスや細菌をキャッチするのは恐らく上咽頭にある咽頭扁桃であると考えられます。

咽頭扁桃が炎症で腫れると、鼻づまり、喉がイガイガした感じが起きます。

もともと咽喉頭粘膜はムチンを含む粘液によって粘膜を保護していますが、炎症が起きることにより、ウィルスや細菌をからめとるためにムチンの産生が増えます。

結果として、痰を感じるようになります。

痰は上咽頭から主に産生されるようになると考えますが、これが鼻腔側に強く影響するようになると、鼻炎につながり、長引けば副鼻腔炎へとつながるものと考えます。

逆に中咽頭側へ炎症が進むと、喉の痛みや顎の下の辺りを抑えた時の痛みになります。

程度が強ければせき込みが増加するでしょう。

下咽頭・喉頭まで炎症が進むと、咳や痰の増加を認めます。

もちろんそこから先の気管支・肺で炎症があれば、なおのこと痰・咳は悪化するはずです。場合によっては熱を伴うでしょう。

はじめはウイルス感染がほとんど

最初の感染が溶連菌等でなければ、おそらく初回感染についてはおおむねウィルス感染と考えますので、自身の体で抗体産生が早めにできる方の場合、比較的短期間に症状が緩和され、1週間以内程度で症状が落ち着くのではないかと考えます。

ウイルスへの抗体が出来なければ、お薬での治療を

ところが抗体がなかなかできない場合は、症状が遷延し、場合によっては自身の咽喉頭・鼻腔や副鼻腔の粘膜に常在している細菌のバランスが崩れ、普段なら悪さをしない常在菌が一時的に増殖し、膿性痰につながり抗菌薬が必要になる場合があるのではないかと考えます。

耳鼻咽喉科医として、感冒に対処する場合、上記経緯を考えながら介入すべきであると考えます。

痰・鼻水・せきは無理に止めないように

人体は抗菌薬や抗ウィルス薬を自分では産生できませんから、痰でからめとって飲み込んでしまうか、あるいは鼻水や咳で外に出してしまうことで体を守ろうとします。

これは感染性胃腸炎と同じシステムであり、極めて合理的な反応です。

であれば、痰や鼻水は本来止めるものではなく、しっかり出すべきものです。

感染性胃腸炎もそうですが、基本的に下痢は止めるものではなく、しっかり流すことによって治癒を期待しますよね。もちろん程度が強ければ補液が必要です。

感冒の場合、痰や鼻汁は止めるべきではないですが、しかし痰が多ければ鼻が詰まり、小児の場合、場合によっては中耳炎につながることもあります。

ですから痰切れでしっかり流しやすくするということはあっても悪くないでしょう。

せき込みについても、異物であるウィルスや細菌を外へ出そうとする生理的反応ですから、本来は止めるべきものではありません。

ただ、夜も眠れない程度の咳であればかなりつらいでしょうから、その場合は咳止めの併用もあってもよいでしょう。

予防について

では、予防的な面ではどのようにすべきでしょうか?

先ほども記載しましたが、おそらく感染のコントロールで最初に関門の役割を果たすのは上咽頭です。

マスクの着用

上咽頭にウィルスが来るまでの経路を遮断する上で、最も効果的なのはマスクではないでしょうか。

もちろん100%の気密性を確保することのできるマスクは息苦しく、常時装用は困難ですが、外部から侵入を試みるウィルスにとって、保湿やフィルター作用のあるマスクは、想定外の障壁でしょう。

特に外気が乾燥し冷たくなり、末梢の血管も縮みやすくなる冬場は、粘膜の保護能力が落ちますから、冬場に感冒がはやるのは当然であり、マスク装着はその際に大いに役立つと考えます。

もちろん夏場も役に立つでしょうが、鼻腔や副鼻腔による血液の冷却機能がマスクによって阻害されますから、体温が低下しにくくなってしまいます。

ですから、熱中症が懸念される状況下では、厚生労働省もマスク装用は控えてくださいとお願いされていますよね。

バランスの良い食事

抗体を産生するにはアミノ酸が必要です。すなわちタンパク質です。食事が大事なのは言うまでもないでしょう。

特に肉や魚などのタンパク質の摂取は、意識して行わなければ不足しがちです。

もちろんビタミン類も免疫に大事な役割を果たすため、野菜類もしっかり摂取すべきです。

また、組織がしっかり働くためにはブドウ糖が必要であり、ご飯なども適量を摂取することが望ましいと考えます。

また体の水分量を維持するためにも、適切な水分摂取は大事です。

結果として、バランスの良い食事をとることが、ひいては感冒に対して強い身体を作る基になるわけです。

口呼吸になっていないか

これだけのことを普段から気を付けていても、感冒に罹患することはあります。

その場合、実は鼻呼吸ができておらず、口呼吸になっていないか確認してみましょう。

特に普段から口をぽかんと開けて過ごしている方は、少なからず口呼吸になっているものと考えます。

口呼吸になりやすい方

なぜ口呼吸になるのでしょうか。

もともと生理的には鼻呼吸を自然としているはずなのですが、以下のような方が、口呼吸になりがちであると考えます。

鼻づまりが起きている方の場合、鼻詰まりがなぜ起きているのかを精査する必要があります。

アレルギー性鼻炎があったり、鼻腔の形態的に鼻閉が起きやすかったり、鼻腔内にポリープがたくさんあったりするのかもしれません。

これらは耳鼻咽喉科に受診することで詳細が分かります。

後者の場合、まずはしっかり咀嚼すること、特に硬いものをしっかりかんで食べる習慣を身に着けること、普段から会話や歌などを歌う機会が少ない方は、会話や歌を歌う機会を増やすことが改善に向かう道筋ではないかと考えます。

どんなかせでも油断せず、
しっかりと診断・治療をしましょう

これらのことに注意して生活していても、それでも風邪をひいてしまうことはあるでしょう。

先ほども述べましたが、風邪が長引く場合は、鑑別する疾患が多々あります。状況に応じて使う薬も変わってきます。

別項でも述べていますが、急性喉頭蓋炎や扁桃周囲膿瘍など、緊急で治療しなければならないのど風邪も存在します。

片方で、慢性上咽頭炎のような何か月も感冒症状が続く病気も存在します。

これらは個々人の免疫能力や体質の差異により生じるものですから、画一的に治療ができるものではありませんが、しっかりと経過を伺い、患部をしっかりと観察し、適切な診断を行うことで、快方に向かう道筋が見えてくるはずです。