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肺炎球菌について

今回は、耳鼻咽喉科領域にもっともなじみが深いと私が考えている、肺炎球菌について説明しようと思います。

細菌の分類と概要

その前に、そもそも細菌についての概要を、まず説明すべきでしたね。

生物は大きく分類し、バクテリア・アーキア・ユーカリアという分類がなされています。

我々人類や鳥類、魚類、あるいはトマトやキュウリなどの野菜、そしてキノコなどの真菌に至るまで、これらはユーカリアといって、真核生物に分類されており、恐らくこの分類がもっとも身近な存在なのではないかと思います。

ではバクテリアとは何かというと、原核生物といって、核が核膜に覆われていない単細胞生物の中で、リボソームRNAというものが真核生物と近いものをアーキア、遠いものをバクテリアと呼んでいます。

アーキアはなかなか理解しにくい存在かもしれませんが、海の底や高度の塩分濃度内などで生息する単細胞生物で、古細菌などと呼ばれていた時もありましたが、細菌ではありません。

太古の昔に、真核生物への進化をせず、割と原初の姿に近い形をとどめながら、しかし独自の進化を遂げたもの、それが細菌という認識で良いのではないかと思います。

細菌の多様な生存環境と適応力

細菌は、広く地球の環境及び生物に適応し、我々の想像している以上の環境にも生息しています。

医学に関係する細菌は、人体への依存度を高めた種類が比較的多いため、特定の環境でないと生存できない、あるいは増殖できない、といったものもありますが、逆に自然の過酷な環境の中でも生存・増殖できるように適応し、たまに人体へも感染を起こすことがあるものなどもあります。

そういった自然環境でも生息できるものは非常にタフであることが多く、抗菌薬なども効きにくく、矮小なイメージとはかけ離れた生存性能を持っていることが多いです。

好気性菌と嫌気性菌の性質と分類

細菌は生きていくために酸素を使用しエネルギーを得るもの、逆に酸素が嫌いで発酵によってエネルギーを得るもの、酸素はどちらでもよくて、適宜解糖によってエネルギーを得るもの、適度に低い酸素濃度が好きなもの、など実は微妙な差異があります。

また、生存に適したpH、あるいは塩分濃度も存在し、これらは生活環の環境を示唆していることが多いです。

我々真核生物もそうなのですが、酸素を使用し、エネルギーを作ると、非常に効率よくエネルギーを得ることができるため、一般的には酸素に順応したものほど、はやく増殖することができます。

今後は酸素が好きな細菌を好気性菌、酸素が嫌いな細菌を嫌気性菌と呼称することとします。

その中間的な細菌は通性嫌気性菌とか、微好気性菌などと呼びます。

細菌の増殖と環境変化への反応

環境変化が起きた際、まず真っ先に増殖が進み、陣地取り合戦に勝利するのは当然好気性菌です。

好気性菌は酸素を消費することで多大なエネルギーを得て、栄養を消費しながら次々に増殖を繰り返していきます。

次第に細菌が表面を覆いつくすと、内部は嫌気環境が醸成されます。

酸化還元電位の低下という現象が起きるためです。

酸欠気味となった、イメージでいうと淀みが起きた環境では、嫌気性菌が増殖し、これらは発酵や脱窒素など、自身にとって都合の良い代謝を行うことでエネルギーを得て、増殖していくこととなります。

これらの嫌気性菌が増殖するまではそこそこの週数が経過しないといけないため、急性期の炎症において、特に耳鼻咽喉科領域のような比較的好気的環境において、嫌気性菌が最初から強く関与する病態は、それほど多くはありません。

勿論、例外は存在します。

細菌の防御と攻撃の多様なメカニズム

細菌は、自身を攻撃するものに対し、実に色々な対抗手段を持っています。

これは我々の想像のはるかに上を行くものであり、いかに我々が細菌を矮小な存在と考えているか、それが以降の話を知れば、よくわかるはずです。

1つは、細菌は独自の分泌装置を持っているという事です。

特にⅢ型及びⅣ型分泌装置と言われるものがあり、注射器のような役割を果たします。

細菌が自身で作製した毒素を人間の細胞内に直接注射し、細胞そのものを破壊したり、それから得られる栄養によってより自身が増殖しやすい状況を作ったりします。

毒素によっては、白血球を殺すことができるものまで存在します。

細菌の作り出す毒素についても、実に多様多種なものがあり、中には免疫を攪乱させ、激しい炎症によって宿主を死に至らしめるようなものも存在します。

細菌の持つ線毛は、宿主の細胞にとりつき、粘液の大きな流れで細菌自身が流されないようにして、増殖の足場を作るようなことができます。

細菌の中にある、自身のDNAとは異なる「プラスミド」というDNAは、細菌自身のDNAとは異なる環状DNAで、他の細菌へ受け渡しをすることができます。

これにより、薬剤耐性のDNAを他の細菌へ受け渡すことができたり、あるいは病原因子の受け渡しを行うこともできます。

芽胞といって周囲の環境が悪化した際に形成できる、いわば強靭なバリアのような構造を作ることのできる細菌は、芽胞形成の状態であれば、エタノールや紫外線などでも殺菌することはできません。

また、細菌同士が集簇し、周囲に粘着性のバリアというか、集落のようなものを形成するのですが、これをバイオフィルムと呼びます。

このバイオフィルムは、抗菌薬も到達することができず、白血球もバイオフィルム内部に侵入できないため、細菌を除菌することができなくなる原因となります。

このバイオフィルムは自然界でもよく見られるもので、身近なもので言えば台所の排水溝のヌメヌメも、実はバイオフィルムなのです。

また、歯磨きをする前に、歯がツルツルした感じではなくなっていると思いますが、これも口腔内常在菌によって形成されたバイオフィルムの影響です。

歯磨きや歯間ブラシは、すなわちバイオフィルムを物理的に除去している作業そのものなのです。

しかし徹底的に歯磨きや歯間ブラシをしたとしても、また次の食事のあとには同じようになり、また歯磨きをしますよね。

ですから、細菌を根絶することは不可能であるということが、よくわかると思います。

肺炎球菌について:概要と性質

さて、細菌についての大雑把な話はここまでにして、肺炎球菌について話すことにしましょう。

肺炎球菌と聞いて、肺炎を起こしたりするの?と思うかもしれませんが、確かに起こすことはありますが、肺炎球菌が原因の急性副鼻腔炎に罹患したからといって、肺炎になるわけではないです。

正式名称はStreptococcus pneumoniaeといいます。

肺炎球菌の発症メカニズムと検出例

健常人の上気道に5-20%常在していると言われていますが、保菌者であれば発症するというわけではなく、前回記述したように、宿主の免疫能低下や、ウィルス感染後などに発症するとされています。

よく急性副鼻腔炎の患者さんの膿性後鼻漏から検出され、細菌が検出される場合、体感的には6-7割程度はこの細菌ではないか、といった印象を受けています。

莢膜という構造があり、グラム染色の際に往々にしてよく見えるのですが、紫色に染まった菌体の周囲に透明な膜のようなものが見えます。

これが莢膜で、何度も顕微鏡で見ていると思うところですが、恐らくこの莢膜がある影響で、好中球が貪食しづらくなっているように見えることが多いです。

人間と違って白血球には目がありませんから、何かのシグナルを頼りに自己と非自己を区別し、非自己で貪食すべき対象を貪食するわけですが、そのとっかかりとなる部分をうまく隠しているような状況というわけですね。

もちろん、いずれ特異的抗体産生によりとっかかりができるようになるので、容易に認識できるようになるわけですが、これについては免疫のより深い話へとつながっていくため、今回は割愛します。

肺炎球菌の構造と免疫回避機構

単独で急性副鼻腔炎の原因となっていることも多いですが、インフルエンザ桿菌や、コリネバクテリウムと共感染している時もあります。

抗菌薬の使用とともに耐性化も進んでおり、ペニシリン耐性、マクロライド耐性の肺炎球菌も増加傾向にあります。

ですから、抗菌薬の安直な使用は避けるべきであり、これは他の細菌についてもいえることですが、抗菌薬を使用するときは、明確な理由がある場合のみに限定すべきであり、安易に抗菌薬を使用するのは厳に慎まねばなりません。

痰切れや咳止めなどは少しずつ市販薬として出回っていますが、抗菌薬が市販薬として出回ることがない理由がここにあります。

もし抗菌薬が市販薬として出回れば、安易に使用されるケースが増え、結果的に細菌の薬剤耐性化が進行し、ほぼすべての抗菌薬に耐性化を果たした細菌が蔓延することとなります。

そうなれば、細菌感染により肺炎や菌血症などに至った場合に対応できる術がなくなり、今まで救命出来てきたケースでも、致死的となるケースが続出することとなるからです。

こういった理由もあり、もし手持ちの抗菌薬が少し残っていたとしても、風邪をひいたから飲んでみようと、適当な判断で使用してはいけません。

抗菌薬を適切に使用するタイミングで、起因菌の鑑別が出来なくなるデメリットがあるだけではなく、抗菌薬を長期間使用せざるを得ない状況となった際に、安易に抗菌薬を使用していた期間の影響で、抗菌薬をもう少し続けたい、しかし内服期間が長くなり、副作用が目立ってきたため、内服を中断せざるを得ない、といった状況となることもあるからです。

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