クリニックブログ
南馬込おかばやし耳鼻咽喉科のクリニックブログです。
病気や治療のことに関わらず、日々のクリニックの様子など日常的なことを書いていけたらと思います。
新年のごあいさつ(2024.1.5)
新年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
去年はCOVID-19が5類感染症扱いとなり、非日常から日常へ戻っていく年でした。
感染症の流行は例年に無い経過となっており、日常で罹患する疾患に、非日常であるがゆえに罹患する頻度が落ちた影響かと考えています。
特に溶連菌感染症が目立ちます。
溶連菌感染症は、通過菌である溶連菌が上気道粘膜に感染を起こす病気で、一見すると風邪のような症状ですが、特に小児においては、頻度は低いですが溶連菌感染症罹患後に急性腎不全を起こすことがあり、抗菌薬で除菌する必要があります。
型通りの抗菌薬服用後も再燃しやすい方が一定数いらっしゃいます。
溶連菌が細胞内寄生を行うことで抗菌薬の影響を回避しているのではないかなどと言われておりますが、いずれにしても抗菌薬の使用が推奨される疾患です。
しかし初回感染時や、かなり久々の感染の場合などを除き、咽頭所見にはっきりとした所見が出ていない場合も多く、検査して初めてそうだったのか、と知るケースも多いです。
また、ウィルス性上気道炎罹患後に急性副鼻腔炎、いわゆる蓄膿症に移行される方も多く見受けます。
蓄膿症についても、好気性菌、嫌気性菌の混合感染が起きているといわれており、抗菌薬の使用が望ましいです。
ただ、数日間抗菌薬を使用して改善するかというとそういうことは少なく、大概2週間前後の使用が必要となるケースが多いように思います。
これは、もともと膿がたまる病気を治療するには、切開排膿などの外科的処置を行うべきなのですが、顔面骨は非常に堅牢であり、穿つのが大変であること、抗菌薬の発達した現代においては疼痛を伴う上顎洞穿刺などの処置よりも、内服薬単独での加療が望まれる傾向にあるため、内服薬だけで経過を追っていくこととなるのですが、内服薬はあくまで血中濃度を維持するために使用方法が決められており、飲んだからといって膿の中に抗菌薬が十分量いきわたるわけではないので、時間がかかるというわけです。
少し難解な話で申し訳ないですが、感冒1つとっても実はかなり複雑なことが起きており、特に1週間以上続いており遷延している場合や、数日内でも疼痛などの症状の程度が強い場合は、診察を受けていただいた方が良いと思います。
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